【取材】「職業人としての個々の事情」に柔軟に対応する/株式会社Playce

ウーマンエンパワー協会では、さまざまな企業の取り組みを取材しています。今回は、ウーマンエンパワーアワード2023で最終ノミネートされた株式会社Playceに、ダイバーシティ&インクルージョンや女性活躍推進の取り組みを伺いました。

<企業概要>株式会社Playce(東京都千代田区)

設立:2007年

資本金:4,000万円

従業員数:23名(2023/11月時点)

事業内容:webサイト、PR誌、パンフレットなど、広告宣伝物や出版物の企画・制作など

Q. Playceさんは代表の秋山さんが30歳の時に設立されたということですが、どういう経緯で立ち上げられたのでしょうか?

編集プロダクションや出版社を経て、その後は約5年間、フリーランスで編集やライティングの仕事をしていました。29歳のときに結婚し、目標だった著書も出したときに、この先に「家庭と仕事を両立しながら長くいきいきと働くにはどうすればよいか」と考えるようになり、会社を設立しました。

39歳のときに出産し、その翌年、子育てをしつつこれ以上に長く会社を成長させるためにはパートナーが必要だと考え、M&Aを実施しています。会社設立10周年の節目となる2017年に、日本創発グループの一員となりました。

Q. 過去にも3回表彰をうけていらっしゃいますね。仕組みづくりの上で意識していることは?

「女性活躍を推進しなければ」という視点ではなく、「個別の事情に配慮した取り組み」を柔軟に取り入れることを意識しています。子どもがいる女性や、介護、療養中のスタッフなど、負担感や困り感がわかりやすい人だけを基準に杓子定規で制度を考えるのではなく、全員が長く働き続けられるような取り組みを行うことを心掛けています。

私自身が、高度不妊治療、出産、育児、そして、傷病や経営の困難期を経験し、周囲に支えてもらって感じたのは、ママだけではなくて、「ママを支える人」や「傷病、介護などさまざまな事情がある人を支える人」など、誰でも何かしらの事情があるということ。みんなに同じように光を当てたいと感じました。

事情を抱える方に休職を上手く使ってもらって落ち着いてから復職してもらうとか、家庭の事情で家を空けるのが難しいスタッフの場合はオフィスの当番出社のシフトを減らすなどの工夫もしています。また、それでほかのスタッフの負担感が増すことがないように、業務配分やシフトについてもこまめに調整しています。それぞれの事情は尊重し配慮しますが、特定のスタッフや事情に肩入れしすぎることなく、公平かつ俯瞰的な目線で、冷静に施策を考えることが大切だと考えています。

Q. 女性が9割以上を占めている御社では、女性管理職比率は設立当初から100%、育産休復帰率100%と伺いました。テレワークや時短勤務や時差勤務といった仕組みを整えているということですが?

テレワークはコロナ禍に入る前の2019年1月から実施していました。

また、弊社では、出社時刻や退勤時刻を都合に合わせて調整することが可能です。子どもの通園・通学の付き添いや、家族の看病、通院などのほか、「ちょっと身体を休めたい」ですとか「リフレッシュしたい」というときにも活用してもらっています。勤怠については、勤怠管理システムや週報などで管理しています。

2023年から、スタッフの要望で、ワーケーションの取り組みもスタートさせました。私自身も子どもの夏休みに1週間ほど、新潟県の糸魚川市で親子ワーケーションに参加しています。昼は、私は現地のコワーキングスペースで仕事をして、息子はサマースクールでフォッサマグナについて学んだり海岸でヒスイ探しをしたりとさまざまな体験を楽しみました。始業と終業の時間だけ決まっていますが、あとはテレワークと同じような感覚です。企画制作はPCがあればできる業務が多いですし、取材については現在も6割くらいがオンラインなので助かっています。

「業務の成果にしっかりコミットしなければならない」「仕事を自律的に管理しなければならない」「対面以上にコミュニケーションを取らなければいけない」などの厳しさ難しさはありますが、合う人にとってはとても働きやすいスタイルなのではないかと思っています。

また、家庭の事情で、地方・東京間を行き来しながら仕事をする二拠点ワークを行っているスタッフもいます。あくまでやむを得ない事情があった上での特例的な措置ではあるのですが、「働きたい」という意欲のあるスタッフが働き続けられるようにと考え試験的に採り入れました。

Q. オフィスにはお子さんが来ても安心な多目的スペースがあるそうですね。

お子さん連れのオフィス利用は年に数回程度ですが、「何かあったときに子どもを連れて来られる」という安心感があり、さらに子どもウェルカムな空気の醸成に繋がっています。

また、働きやすいオフィス環境づくりの一環で土足禁止にしています。

外からの汚れを持ち込まないので掃除も簡単ですし、清潔感を保てるので、ハイハイするお子さん連れでも安心です。オフィスが清潔だと仕事にも集中できますし、なにより居心地がいいなと感じています。

Q. 個々人の事情にあわせて都度対応を柔軟にされているわけですね。評価はどのようにされているのでしょうか?

弊社の社員は、ほぼ全員が、編集・ライター・ディレクター・コピーライター職のクリエイターです。

評価は20項目ぐらいの評価シートを用いて半年に1回の人事考課にて実施しています。

等級は7段階あり、等級ごとに目標とクリアすべき課題を設定しています。

Q. 他社でも実行しやすい取り組みとは何でしょう?

既にやられているところも多いと思うのですが、1on1でしょうか。チーム長や新人のメンターに任せている1on1面談は月1~2回、30分~1時間程度行っています。社員にとっていいガス抜きにもなっていますし、その場で課題が出てくることも多く、よい取り組みだと思っています。

社員からは半年に1回程度のペースでアンケートを集めていて、ここで出されたスタッフの意見要望から生まれた制度や施策もたくさんありますね。

さらには、話しやすい空気を大事にしています。例えば、社員全員が参加する週次ミーティングでは、業務報告ではなく、雑談をするのです。「最近食べたおいしいもの」「来年の個人の目標」などのテーマを決めて近況報告をして、みんなはチャットでコメントする。テレワークが多いからこそ互いのバックグラウンドを知る機会をつくるよう心掛け、コミュニケーションをとりやすい環境をつくっています。

なお、業務についての連絡は、基本的にSkypeとTeamsで行っています。社員全員だけでなく、チームやプロジェクトごとにチャットルームを用意して、テーマ別にコミュニケーションをなるべくたくさんとれるようにしています。

そして、少し話がそれるかもしれませんが、私自身が多くの企業のインタビューなどを通して感じているのが、女性管理職の少なさです。増えてきたとはいえ、まだまだ十分とは言えないように思います。ダイバーシティな環境をつくるには、意志決定の場に、いろいろな立場の方が参画することが欠かせません。

経営層や管理職層に多様な女性がいることは、とても大事なことだと思います。

代表取締役 秋⼭ 由⾹

新卒で編集プロダクションに⼊社し、編集・執筆業務を担当。2000年、三井物産と⼤⽇本印刷の出資による出版系ベンチャー企業に⼊社。ファミリー向け⽉刊PC誌の編集部に配属。在職中に、⽇本の⼤⼿企業からMBO(マネジメントバイアウト)で分社したベンチャー企業で初めての株式公開(ナスダック)を経験する。2002年9⽉に独⽴し、雑誌、Webサイト、広告キャンペーンなどの企画制作業務やディレクション業務を受託。2007年、業務の拡⼤に伴い法⼈化し、株式会社Playce(プレイス)を設⽴。2017年9⽉、⾃⾝の出産を機にM&Aを実施、株式会社⽇本創発グループの⼀員となった。

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